希少な特選桃を収穫するまでの年間作業
12月~2月:剪定作業

桃の冬の作業は主に、”剪定”です。剪定とは、枝を切っていく作業です。枝が多すぎると、日当たり、風通しなどが悪くなり品質を左右するため、重要な作業です。
また、ただ切ればいいというものではなく木の形、樹勢、その木の性質、土の状況など色々な状況を把握し、剪定方法を変えて行っていきます。無理な剪定はせず自然に、全ての枝に均等に栄養が行きわたり、全ての枝が十分働くようにします。剪定方法は、十人十色です。目指すものによっても変わります。私どもで考える剪定の目的は、「最高に美味しい桃を収穫するため」です。
12月~2月下旬頃まで、寒い時期の作業となりますが連日、全て手作業で行います。また、枝をそのまま落としておくことは、病害に繋がるので全て拾い集めます。このような作業から減農薬に繋がります。
畑の外に持ち出します。
その他 | 苗木の植つけ、剪定した枝の処理、防獣対策の柵、帆柱の補強修繕 |
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12月~2月剪定をすることで | 木を整えることで、春の初期成育時に、元気な花を咲かせ、勢いのある枝を促します。 |
3月:摘蕾

摘蕾は蕾を落としていく作業のことです。 4月になると花を咲かせますが、花を咲かせるのには多くの養分を必要とします。 そのため花が咲く前に蕾の数を制限することで、無駄な養分消費を防ぎ、残った蕾に養分を集中させます。 また、「ここに残しても大きくて美味しい桃にはならない」という場所もあるため、そのようなの蕾も落としています。 品種によって落とす量は変わりますが、約50~70%の蕾を落とします。
その他 | 草刈り、接木苗作り、栄養剤散布、潅水等。 |
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3月の摘蕾をすることで | 無駄な養分消費を防ぐことで樹勢を保ち、そして大玉の桃を目指します。 |
4月花粉採取、人工授粉、摘花、予備摘果

桃は品種により花粉がある桃とない桃があります。花粉のない桃は、授粉作業を行うことでしっかり実が成ります。 花粉のある品種で開花する直前に、膨れた蕾を取り集め、そこから授粉に必要な”葯”を採取します。 その後、花粉のない品種の満開期に2回授粉作業を行います。一つ一つ丁寧に花粉をつけていきます。 花粉採取する品種は花粉の多い白鳳にしております。必要な分の葯が集まったら、白鳳の花も50~70%にまで落としていきます。(摘花作業) 開花するために、木は養分を使うため、開花後には様子を見て自家製の有機ぼかし肥料を与えます。 桃の開花期間は10日ほどで、満開日の前後で晴れで気温の高い日は限られます。 そのため、タイミングを逃すことのないようしっかり授粉させることで、良い枝に良い桃を成らすことができます。
その他 | 草刈り、様子で追肥、栄養散布、潅水等。 |
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4月 花粉採取、人工授粉、摘花することで | 良い枝に良い桃がしっかり成る。しっかり数個実が成った中から形の良い桃を選抜できます。 |
5月:予備摘果、本摘果、袋かけ

引き続き、摘果作業を行います。大きくなり、形の判断ができるようになったら最終的に残す数まで落としていきます。 摘蕾、摘花で50%以上を落としているので、迷うことはありません。この摘果の段階では、形の良い桃か否かをしっかり見極め、選抜していきます。 私どもでは、「一枝一果」を徹底します。一般的に長い枝には、2つ桃を成らしますが、全て1つにします。 空枝(実を成らせない枝)も多くおき、1つの実に対して十分な栄養が行き渡るようにし、大玉で美味しい桃にしていきます。 また、この時期からは特に桃はデリケートなため、摘果のタイミングも大事になります。 摘果が遅れると、玉張りや整理障害の心配がありますので、5月中には終わらせます。
その他 | 枝管理、草刈り、栄養剤散布、潅水等。 |
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5月:予備摘果、本摘果することで | 形の良い桃だけを選抜。成らせる数が少ないことで、一つの桃にたっぷりの栄養がいき、一つ一つが大きく、甘く美味しい桃になります。 |
6月:袋掛け

何度にも渡り行われた摘果で、選抜されて残った桃に、一つ一つ手作業で袋をかけていきます。
袋をかけることで、病害虫の被害を防ぐことができるとともに減農薬が可能になります。
袋掛け時にも傷があるもの、形の良くないものは徹底的に摘果し、実の数を制限します。
収穫の1週間~10日程前に、袋をとりたっぷりの光を浴びせることで、綺麗な紅色の桃に仕上げていきます。
私どもで一番最初に収穫の桃は、7月上旬となるため、6月の下旬には袋をとります。
その他 | 枝管理、草刈り、栄養剤散布、潅水等。 |
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6月:袋を掛けることで | 病害虫の被害を防ぐことで、減農薬に。袋をとった後に一気に光を浴びせることで、綺麗な色づきに。 |
7月~8月:反射シート敷き→「収穫、出荷」

除袋後、色づきをよくするために、反射シートを敷きます。太陽光が反射し下からも光を当てるのです。
あらゆる方向からたっぷりの太陽の恵みを十分受け、最高の色づき、最高の味の桃に仕上げます。
ここまで来たら早く収穫して少しでもロスを減らしたいと多くの農家は考えます。
当然のことです。桃を収穫するまでにどれほどの作業があって、天候に左右されようやく収穫になるわけです。
桃は収穫期になると1日収穫が遅れるだけで、自然に落果してしまったり、鳥や害虫の被害にあったり、と収穫期に一気にロスが増えます。
なので、「早く早く」収穫してしまいたい農家の気持ちも分かります。
しかし、私どもでは”リスク覚悟でギリギリまで木に成らします。”
全ての桃に最大限の栄養を行き渡らせ収穫した完熟桃は、格別だと知っているからです。
収穫を始める前には何度も糖度検査と試食を行い、最も良いタイミングで収穫を始めます。
また気温が高いときの収穫は、桃の果汁の温度も上がっているため、収穫後の日持ちが悪くなってしまいます。
そのため、収穫は早朝にしか行いません。日が出てくる前には畑へ行き、明るくなってきたら厳選し収穫、そして、さらに厳選し箱に詰め。
最高の桃をお届け致します。
ここまで徹底管理を行っておりますが、特選品として出荷できる桃は、わずか5%の希少な桃です。
数量限定ですが少しでも多くの方へ届けたいと考えています。「思わず笑顔になるように」と願いを込めて。
その他 | 徐袋、反射シート敷き、草刈り、枝葉管理等。 |
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7月~8月:徐袋、反射シートを敷くことで | 綺麗な紅色の桃に仕上げます。たっぷりの光を浴びた桃の美味しさはひと味違います。 |
9月:秋季剪定、間伐

この時期は、秋根の伸長で吸い上げられた養分と光合成で作られた養分は、来年のための花芽や枝に蓄えられます。
そのため日当たりを良くすることで光合成を促進させ、養分蓄積を促します。
冬に細かい剪定を行いますが、この時期の剪定は太枝を縮めたり間伐をします。
冬に太枝を切ると枯れこむリスクがありますが、この時期だと切り口が癒合しやすいです。
来年の花芽を充実させることで、来年も大きく美味しい桃を収穫することに繋がります。
また、収穫後は木も疲れているので、様子を見て追肥を行います。
その他 | 追肥、草刈り、栄養剤散布、芽接ぎ(苗づくり)等。 |
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9月:秋季剪定、間伐することで | 日当たりを良くし、来年の花芽を充実させます。そして、来年も大きく美味しい桃を収穫することへと繋がります。 |
10~11月:元肥、土づくり

この時期は、主に土作りを行います。
堆肥や有機物などを与え、物理性を改善すると同時に、微生物を活性化させます。
微生物豊富な土は、根も養分吸収が良く、なにより良い桃を収穫することができます。
化学肥料は一切使用せず、自然にあるものを与えることで、微生物が増えエネルギーに溢れた土になると考えます。
微生物による有機物の分解の際に生成される腐植酸を大事にします。
腐食酸は栽培過程で消耗していくので、この時期に有機物をしっかり与えます。
土作りをどうするかで、桃の出来は大きく変わります。
私たちは独自で配合する堆肥で、最高の美味しさに育てます。
その他 | 伐根、苗の移植、植付、草刈り、潅水等。 |
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10~11月:土作りをすることで | 樹勢を保ち、木が元気に育つ環境を維持します。 |