桃、ぶどう農家の私たちが冬の間にどんな仕事をしているかご存知でしょうか?
よく「冬は暇なんでしょ」と言われますが、暇はなく毎日仕事があります。
もちろん繁忙期の忙しさに比べると、1日の作業量は少ないですが、
寒い中での作業はなかなか大変なものです。
では、この冬の時期に何をしているのかといいますと、
細かいことや準備など色々とありますが、メインは剪定(枝を切る)作業です。
12月から2月までの約3ヶ月間行っています。
私どもでは、桃とぶどうがありまして、
12月に桃(成木)、1月~2月はぶどう、3月上旬に桃(若木)という流れで行っています。
現在はぶどうの剪定をしております。
ぶどうの剪定には大きく分けて2種類あり、「短梢剪定」と「長梢剪定」です。
短梢剪定
短梢剪定の中にも一文字、H型、WH型、オールバックなど色々な仕立てがありますが、
最大の特徴は、結果母枝(前年伸びた枝、今年芽が出てぶどうが成る枝)を全て1~2芽残して切ることです。
樹形が出来上がれば、あとの剪定作業は誰でもできるような簡単な方法です。
長梢剪定
一方で長梢剪定は、結果母枝を1~10芽程度残して切る剪定です。(樹勢により残す芽数を変える)
間引きと切り返しを組み合わせることで、適正な樹勢を維持することができます。
昔ながらの剪定方法で、技術習得には時間がかかります。
長梢剪定(4年生)
品種により短梢剪定で生産できるものとできないものもあります。
短梢剪定で生産できない品種というのは、1~2芽にすると「良い花(房)が着かない」品種です。
ここ数年でシャインマスカットから生まれた黒系、赤系品種が多く出てきましたが、
着色系のぶどうは基本的に長梢剪定の方が良いぶどうになると感じています。
現状、私どもではあえて9割は長梢剪定にしており、短梢剪定は1割程(シャインマスカットの一部のみ)にしています。
その土地の土の性質や木の性質によっても変わるため、決して答えはないと思います。
そのあたりが剪定の面白さでもあります。
これは植えてから40年以上経っているピオーネの木です。
毎年良い実をつけてくれますが、「あと何年収穫できるか」という木です。
近くに若木を植えているため若木を広げ、老木のこの木は少しずつ縮めていきます。